高血圧
高血圧症は、血液が血管を通るときにかかる圧力が常に高い状態が続く病気です。
高血圧は心臓病、脳卒中、腎臓病などのリスクを高めるため、適切な管理と治療が重要です。
主な症状
高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれ、多くの場合、自覚症状がありません。
ただし、以下のような症状が現れることがあります。
頭痛
特に朝方に感じることがあります。
めまい
立ちくらみやバランスが取れないことがあります。
耳鳴り
耳の中で音がすることがあります。
動悸
心臓がドキドキする感覚があります。
息切れ
軽い運動でも息切れを感じることがあります。
原因
高血圧の原因はさまざまですが、主な要因には以下があります。
遺伝
家族に高血圧の人がいる場合、リスクが高まります。
食生活
塩分の多い食事、過剰なアルコール摂取、肥満などが影響します。
運動不足
定期的な運動が不足していると高血圧のリスクが高まります。
ストレス
長期間のストレスは血圧を上昇させることがあります。
喫煙
タバコは血管を収縮させ、血圧を上昇させます。
診断
高血圧は一般的に血圧計を使って診断されます。
家庭用血圧計を使って定期的に測定することが推奨されます。
日本高血圧学会が提供するガイドラインに基づくと、成人の血圧は以下のように分類されます。
正常血圧
収縮期血圧(上の値)が120未満かつ拡張期血圧(下の値)が80未満
正常高値血圧
収縮期血圧が120-129かつ拡張期血圧が80未満
高血圧(ステージ1)
収縮期血圧が130-139または拡張期血圧が80-89
高血圧(ステージ2)
収縮期血圧が140以上または拡張期血圧が90以上
治療と管理
高血圧の管理には、生活習慣の改善と薬物療法が含まれます。
生活習慣の改善
食事療法
塩分を控え、野菜や果物、低脂肪乳製品を多く摂る事が推奨されています。
減塩醤油、減塩味噌も有効ですが、腎機能が低下しているとカリウムが上昇する事があるため、主治医に相談して下さい。
味噌汁や麺類の汁を残す事が有効です。
運動
有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)を週に150分程度行うことが推奨されます。
体重管理
適正体重を維持することで血圧が下がります。
禁煙
喫煙は血圧を上げるため、禁煙が重要です。
薬物療法
降圧薬
医師の指示に従い、適切な薬を服用します。いろいろな種類の薬がありますが、病状や合併症に応じて薬を選択します。
治療目標
日本高血圧学会のガイドラインに基づくと、以下のような目標が設定されています。
1. 一般成人の場合
収縮期血圧(上の値)
140 mmHg 未満
拡張期血圧(下の値)
90 mmHg 未満
2. 高リスク患者の場合
高リスク患者とは、糖尿病、慢性腎臓病、心血管疾患の既往がある患者などを指します。
この場合、より厳格な目標が設定されることがあります。
収縮期血圧
130 mmHg 未満
拡張期血圧
80 mmHg 未満
3. 高齢者の場合
高齢者(75歳以上)の場合、治療目標はやや緩やかに設定されることがありますが、全体的な健康状態に基づいて個別に調整されます。
収縮期血圧
140-150 mmHg 未満
拡張期血圧
90 mmHg 未満
(心不全予防のためには130/80mmHg以下が望ましいといった意見もあります。)
いずれの場合も、合併症(脳卒中、狭心症や心筋梗塞、心不全、腎臓の機能低下等)を防ぐために、確実な降圧が必要です。
また薬の減量や中止ができる場合もありますので、自己判断せずに、主治医とよく相談をして、治療を継続しましょう。
予防
定期的な健康診断
早期発見と治療が重要です。血圧を定期的に測定し、異常があれば早めに対処します。
健康的な生活習慣
バランスの取れた食事、定期的な運動、ストレス管理を心がけます。
教育と情報提供
高血圧に関する知識を深め、自分の健康管理に役立てます。
高血圧症は生活習慣の改善と適切な治療により、コントロールが可能です。
合併症を予防するためにも、定期的なチェックと医師の指導を受けながら、健康な生活を維持しましょう。