動悸
動悸とは
“動悸”とは、自分の心臓の拍動(ドックンドックンという心臓の動き)を自覚して、不快感や痛みを感じる状態のことを言います。脈が普通であっても、遅くても、速くても、いつもと違うだけで、“動悸”と感じます。“動悸”を生じる原因は次なようなものがあります(心臓以外の病気も沢山含まれます。例えば、肥満や妊娠も動悸の原因となりえます。)。
1)不整脈
動悸の原因になる代表的な病気ですが、治療を必要とする不整脈は限られています。詳しくは不整脈の項を参照して下さい。
2) 高血圧症
血圧が高い場合は脈拍を強く感じるため、動悸を感じることがあります。詳しくは高血圧症の項を参照して下さい。
3) 心不全
何らかの原因・病気によって心臓の働きが低下すると、低下した心臓の働きを補うために脈拍がふえます。心筋梗塞など心臓に障害のため収縮する力が低下する場合や、高血圧症や加齢により心臓の広がる力が低下する心不全がある事が明らかになりました。詳しくは心不全の項を参照して下さい。
4)貧血
女性に多い鉄欠乏性貧血ですが、動悸の原因となります。坂道を登った際や、階段の上り下りで、強い動悸や息切れを感じることがあります。多くは鉄剤の内服・注射で改善します。他に貧血の原因となる病気があるため、必要に応じて胃腸や肝臓の検査が必要になる場合があります。
5)甲状腺機能亢進症(バセドウ氏病や甲状腺炎など)
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることにより脈拍が必要以上に上昇して、動悸を感じます。他に、体重減少、汗をかく、手が震える、下痢などの症状を認める事があります。女性に多い病気ですが、原因が複数あり、各種の検査で診断します。
6)不眠やこころの病気
不眠により(交感神経が)緊張したり、うつ病やパニック障害でも脈拍が上昇して、動悸を感じます。
7)薬の副作用や嗜好品
喘息の治療薬や嗜好品(コーヒーやお酒)で動悸を感じるこがあります。
動悸の原因になる病気はさまざまです。
不整脈に関する治療経験が豊富です。「頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーション」を専門として、色々な病院で指導を行っていました。現在は、“不整脈の治療”に関するゲートキーパー・ナビゲーター(治療が必要か否かの判断)として診療を行っていますので、以下の点を確認して受診されることをお勧めします。
- どのような動悸か?=脈が飛ぶ、早い、強く感じるなど
- どのような時に動悸が起きたか?=安静にしていた時、運動時、姿勢を変えた時など
- 動悸はいつ頃からか?
- 動悸とともに、目の前が暗くなったか、意識が遠のいたか、失神したか?
- 動悸以外に気になる症状があるか?=息苦しい、めまい、胸が痛い、震え、不安感など
- 治療中の病気や内服薬(特に変更になった薬など)
- 嗜好:飲酒量やコーヒーなどの量が増えたか
- 生活や仕事内容の変化、ストレスを感じるか?不眠があるかどうか?